元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

ものすごい山の中を、タクシーの後ろの席に乗って、走っている。

途中クルマが、田んぼ(?)に後輪を突っ込んだが、「難なくクリア」という感じ。何事もなかったかのようにのろのろと進んでゆく。

運転手は年寄りで、のんびりした感じ。
途中、この山道ですごい外車とすれ違う。運転手が、「ああ、○○社の××さんだ」という。(そのヒトは、一部上場企業の会長)僕は、「なんて知ってるんだろ」と思うが、たぶんタクシーの運転手だからいろんな人間を乗せてるから知ってるんだろうなあ、と妙に納得。

それ(人脈が広いこと)がすごい、うらやましかった。
こんな田舎の山道をのんびり走っている運転手がなんでそんなビジネスのトップと知り合いなのか(実は知り合いですらないのかも?)と。


次の風景は、どこかの駅の階段。。

僕はもしかしたら、老婆と一緒にタクシーに乗っていたのかもしれない。
でも僕が老婆と思っているヒトは、実は年寄りのタクシー運転手かもしれない。

とにかくそのヒトは、タクシーの「メーター」をなぜか手に持っている。
つまり、僕とその老婆は、歩いているにも関わらず、メーターはいまだに回り続けているのだ。
なぜかは、わからない。

のんびりと山道を走っているようで、実はいろいろなことに巻き込まれて、車は壊れてしまったのかもしれない。なぜ壊れたのかは、わからない。

その運転手は足が不自由なようで、僕が階段を降りるのを手伝ってあげようとするが頑なに拒む。
そう、おそらく、そのヒトが階段を降りるのを手伝ってしまった時点で「タクシー」として成立しなくなってしまうのだ。(メーターが止まってしまう)

だからそのヒトはガメつく、いつまでもいつまでもメーターをまわしていようとする。料金はもうけっこうな額になっている。僕は当然、自分は歩いてるのになんでメーターがまわってるんだよ、と、思っているのだが、特に怒るでもなく、その老人が階段を降りるのを手伝っている。