ハコモノの維持
たとえば料理人だったら自分の店をつくるのが夢でしょ。夢見がちで世の中知らないデザイナーの卵は自分のショップを持ちたいのだろう。
でもさ、ハコをつくるとハコのオペレーションに固定化されて、ルーティンになってしまうんだよ。
そうなると、たとえそれを夢見ていたのだとしても、飽きてくる。
飽きるならまだいい。生活を維持できるのであれば。でもさ、飽きてくれば高い確率で店は続かない。なぜなら、やってる本人が面白くないんだから。店主がつまんなそうにしてる店に客がくるわけがない。
店っつーのは賃料もかかるし。。きわめてリスキーなんだよ。
リスキーなことにチャレンジする自分に酔ってるヤツはサイアクだ。現実をみないから。そんなヤツはビジネスをやる資格はないんだけれど、すぐ退場させられるから、淘汰はできている。
夢をみることを否定はしない。なぜなら、それが人間の原動力だからねえ。
そこで終わっちゃうからいかんのだよ。考えることを。
人間は考えが変わるのだ。「店さえ持てれば幸せ」という考えが、一生続くと思ってるさ、若いうちは。でも「んなこたない」。
店を続けるためのルーティン、カネの勘定とか、掃除とか、だんだんやりたくなくなってきて、やがて考えが「どんより」してくる。
はじめっから、そのぐらいの覚悟なんだから。若造の夢なんて。
だからね、オレは、ハコモノを実現させてそれをオペレーションするだけの一生なんて、ずっとイヤだった。若い頃から。
「店を持ちたい」とか意味わかんなかった。それだったらサラリーマンやって、趣味で活躍したほうがいい。
どう考えてもそっちのほうが正しい。
正しいのだが。。オレの中では、対案を出せずにいるのがもどかしい。
でもね、そんなオレでもなんとなく楽しく生きている。このノウハウを周りに提供してあげたいなあ、とはたまに思うね、僭越ながら。