元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

今日、多くの場所で、閉じた世界がだんだん強くなってきています。原理主義、カルト、軍国主義。でも閉じた世界は武力では壊せません。壊してもシステム自体は残ります。
なしうるベストなことは、ただ語ってみせることです。開かれた世界のよい面を見せること。時間はかかりますが、長い目で見れば、開かれた世界のそういう開いた回路は、閉じた世界がなくなっても残ると思う。
―どうして今日、閉じた世界が力を得ているんだと思いますか。
その答えは簡単です。今日、世界はひどく混沌としています。人はいろんなことを考えなくちゃいけません。ストックオプションとか、IT産業とか、どのコンピュータを買ったらいいかとか。ケーブルテレビには五十四のチャンネルがあって、インターネットを使えば知りたいことは何でも知ることができる。すごく複雑で下手すると迷子になってしまいます。でも、小さな、閉じた世界に入れば、何も考えなくて済みます。グルや独裁者が、何をしたらいいか、何を考えたらいいか、教えてくれるんです。すごく簡単で、楽で、誘惑的です。(略)いったん閉じた世界に入ったら、逃げられません。ドアは閉じてしまうんです。