元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

長文:定性的大キライ。(3)

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僕らフリーの人間は本来、会社員と違って実績出さなきゃクビだ。
そういう立場は、自分が選んだ道だし、別にキライじゃない。

でも、その「実績」が定量化されずに、なんとなくあくせく働いているように見える人間が一定の評価されてしまう環境がキライだ。

実績の定量化というのは僕にとっては死活問題である。とはいっても僕がそれぞれの現場での評価基準を決めることはできない。
定性評価がまかり通っている現場にいかされてしまったら、早めに引き上げてくる。馬鹿らしいから。そして自身の身を守るために。
それができるのがフリーの特権かもしれないけどね。

僕らはこのギョーカイの最底辺層を生き抜くために、システム的なスキルを上げなきゃならないし、昨今は「コミュニケーション!」みたいなビジネススキルも上げなきゃならない。
そこに加えて、汎用的に定性的評価を受けるための「演技力」も磨いていかなければならなかった。

そして、このギョーカイではこの「演技力」が重要視された時期があったんだよね、間違いなく。

今はさすがに下火になってきたみたいだけど、代わりに、エンジニアに技術(あるいは「ソリューション」)を求めてるクセに反面、ビジネススキルのほうを重要視するというトレンドに入っている。
なんだか本末転倒である。

現場において、新しくヒトを入れたいというときに、「スキルなんざどうでもいいから、ハキハキしてるヤツがいいな、それといろいろ押し付けても文句言わず働いてくれるヤツがいい」とか堂々と言ってるヤツも多い。

これだから。。ギョーカイ自体が「これぐらいのレベル」だからこそ、僕らIT土方の需要が尽きることはない。


 
ああ、また脱線してゆく。。戻さなきゃ。

僕は一定量の仕事をどれだけ早く上げるかが勝負だと思っている。
(そんなのアタリマエだと思うんだけどな。。)

そしてもっとも大事なのは、早く仕事を上げた人間にはそれなりの「休息」が与えられるべきだ。
「報酬」を与えられるべきとは言わない。そこがミソ。

早く仕上げたからって僕の手取りが変わるわけでもない。だったら自分で生産性を上げて休息をゲットしたいに決まってる。

このギョーカイには、その「休息」を返上して空いた時間を勉強にあてたい、と切に願っている人間がたくさんいる。(僕は違うけど)
そんな熱い思いがあるのに、そして、生産性を上げて空き時間をまさに作ろうとしているのに、「『ヒマなんじゃね?』攻撃」で仕事をまるっと投げられてしまう。

で、そういう将来有望な人材の芽をつぶしてしまう。
このギョーカイの最底辺層とはそんなところだ。


 
ところで。。
仮に評価基準がある程度定量化されたとしても、査定の段になって
「うん、がんばってくれてる。それは明確にわかる。でもウチはいま業績がキビしいから給料は据え置きね 以上 あ、ところで何かいいたいことある?」
これじゃあ、必死こいて仕組みつくって業績を定量化する意味すら、ないのかもしれない。
でも、そもそも評価の点数が給料に直結する会社など、そうはない。

なぜ評価の定量化が大事であると、シツコく述べているかといえば、カネのためじゃない。
上司とか同僚とか、周りに「ああ、コイツは(定量的に)デキるヤツなんだな」と思わせることは、大事なんだ。

なぜならば、まず上の牙城を崩せば、稟議が通りやすくなるかもしれない。自分の意見がとおりやすくなるかもしれない。周りに認められれば社内調整が少しやりやすくなるかもしれない。オモシロそうなプロジェクトに抜擢されるかもしれない。

つまり、社内的に「一目おかせる」ことが大事なんだよ。
一目おかせることができれば、仕事が楽しくなるかもしれない。

そのための評価基準。

アイツ(あるいはあのチーム)はけっこうやるんだな、ということを周知させるための、表彰制度みたいのはどこにもあるけど、あの評価基準こそが定性的の権化だよなあ。。
あのチームはいつも「遅くまで残って」ガンバッていたから、っていうのが常に第一の評価項目としてある。
それならまだ、定量的な「勤続25年表彰」のほうがわかりやすいよね。

「ああ、こいつはいつも終電近くまでいるみたいだし、がんばってんだな」とか、
「あいつはいつもあくせくしてないし、席にいることも少ないし、プロジェクトは問題なく進んでるみたいだけど気合いれて働いてないんだろうな あいつにもっと仕事ふっちゃおっかなー」、とか、
そういう評価基準は、サイアクだ。

 
社内で評価されると、昇進「しちゃう」からめんどくせー、っていうハナシを、知人から聞いたことがある。
管理職にさせられちゃって、デキの悪い部下の面倒とかみな押し付けられちゃって、自分のやりたい仕事をやって実績を上げてきたことが結果的にアダになった、みたいな。

それは確かに、そうかもしれない。
でもそれは「サラリーマンさん、お気の毒に」ということで。。

でもね、昇進するということは権力を持つということだ。(たぶん)扱えるカネのケタも増えるのだろう。

そのステージにせっかく上がったんだから、うまくやりゃあさらにやりたいことができるんじゃないのかな。
つまり、昇進すると求められる仕事のレベルが変わるから、自分のやりたい仕事もシフト・チェンジする必要があるんじゃないかな、ってこと。
「いつまでもヒラではいられない」。

 
そして、結果的に「いつまでもヒラでいられる」のが僕らみたいなフリーの身分なんだけど。。
この立場はあまりおすすめはできないな。

気楽でよさそうだね、ってよく言われるけど、(僕は白髪がほとんどないので、同世代の白髪が目立ってきたサラリーマンからそのことを揶揄される)僕らは「顔で笑って ココロで泣いて」ですから。

企業組織におけるしがらみもいろいろ大変なんだろうけどさ、僕らは「自由」という大海をあっぷあっぷしながら泳いでいるので、リアル社会を生き抜く「筋力」はついているかもしれない。その筋力は別に、サラリーマン諸氏に自慢げに見せるために鍛えているわけじゃない。

すべては、生きるため、家族を路頭に迷わせないために。