元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

「江戸学」のすすめ(3)

「江戸学」のすすめ―貝原益軒の『慎思録』を読む

「江戸学」のすすめ―貝原益軒の『慎思録』を読む

(慎思録の意訳のほうです)
富貴で立身出世した人は、気儘に遊んだり酒宴を催したりして、これを最大の楽しみと心得て、月や花を眺めたり、山水の物静かな景色を楽しうことの意味深長なることを知らないのである。ただ貧困で恵まれない人は、宴楽などはできないが、大自然の美を楽しみ味わうことができる。しかし、自然美を楽しみ味わう人は少ない。まして、道徳を行う―善行をする―ことの楽しさの大なることを味わい得る人などはなおさら少ない。まことに嘆ずべきことである。