元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

感奮語録

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作家の柴田錬三郎は、戦中(略)船が撃沈され、死線をさまよう苛酷な経験をした。あるとき、「なぜそのときのことを書かないのか」と横尾忠則に聞かれた柴田は「よくおぼえてねえんだよ」と答えた。「そんな馬鹿な。波間をさまよっているとき、いろいろ考えたでしょう?」と横尾が迫ると、柴田はこう答えた。

「何も考えなかったよ。考えたやつはみんな死んださ」

と。

「人間は考える葦である」といわれ、考えることは人間の素晴らしさの証であるかのように思われてきた。しかし、考えるだけでは何も解決しない。現代人は考えすぎて力を失ってしまっている。