元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

引用

体は、右むければ右むく、左むければ左むくんだが、心は腹立てちゃいけないときに腹がたったり、心配しちゃいけないときに心配したりする。ちょい と夜、寝際だって寝ることを考えなければ寝られるのに、わかっていても神経過敏な人間はすぐ知っていることでもって、かえって自分自身を迷わせち まうことがあるでしょう。それをあなた方は当たり前だと思っているところに、当たり前でない間違いがあるんだぜ。
腹立つときに腹立つし、悲しいことがあれば泣くし、つまんないことがあれば失望しちまう。これが人間の心だと思っている。だから、「病のときに病 を気にするのは当たり前だ。病を気にしなきゃ、そいつは馬鹿だ」と思っている。馬鹿だと思われている奴がほんとうは利口で、馬鹿だと思う奴が馬鹿 だということを知らないんだ。私もその仲間だった。
(略)
「悲しいときに、心まで悲しむ必要はなかろう」と、私はこう思った。ヨガの哲学の中にね、「身に病ありとしもいえど、心まで病ませるな。運命に非 なるものありとしもいえど、心まで悩ますな」という教えがあるんですよ。