元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

塚越寛さん「遠きをはかる者は富む」

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小さな逆境はいくらでもありましたよ。でも、ものすごく運がよかった。

運というものは、ある人のところに集中的に行くものではなくて、だれにも平等に来るもんだと思います。ただ、それをつかむかどうかは、その人の何かなんだよね。

私が思うに、積極的な生き方をする人が運をつかむ。

信州言葉で「ずくのある生き方」ということになるかな。

積極的な生き方とは、進んで汚れ役だとか、苦労だとかをかって出る人、急がば回れという生きざまを持つ人に運がついてくる。私自身がそういう生きざまをしてきました。

商売というものは、いかに目先の逆、いかに遠くを計るか、それが勝負なんです。大概の人は目先の欲をかいて取ろう取ろうとする。だからうまくいかないのです。

やはり、「与える」という心の余裕がないといけません。そのことについて二宮尊徳は次のような言葉を残しています。

 遠きをはかる者は富み

 近くをはかる者は貧す

 それ遠きをはかる者は百年のために

 杉苗を植う。

 まして春まきて秋実る物においておや。

 故に富有なり。

 近くをはかる者は春植えて

 秋実る物を尚遠しとして植えず

 唯眼前の利に迷うてまかずして取り

 植えずして刈り取る事のみ眼につく。

 故に貧窮す。

この言葉は、私の最も好きな言葉です。

それにしても目先の欲ばっかりをかいて、必死に儲けよう儲けようという人がなんと多いことか。いまほど本当の意味での人生観とか、経営哲学というものが求められている時代はないのではないでしょうか。