元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

「小損を取る」(10)実践編その2:ゴミ拾い

 引き続き「ゴミ拾い」について書きます。

 「ゴミ拾い」はあくまでひとつのたとえでして、アラフォー過ぎたらなんでもいいから、どんなときでも優先度高く行う「善行」をひとつかふたつ、持ちましょうよ、ということです。

 照れずにやればいいと思うんですよね。そして、こっそり。SNS等でアピールする必要なぞはまったくないです。

 そして、そういうことをやろう!と決意するとなぜかその遂行を妨げる事象が起こるので(苦笑)、それに対する対策(?)などを前回から続けて書いていきます。

 大事なのは、ゴミが目についてしまったら、何もせず目をそらしてはいけないということ。

 みなかったことにしてはいけないのです。

 拾うと決めたのに「みないふり」が続くと、自分が自分に対して信頼をなくしちゃいますからね。信頼のおけない自分と同居する(?という表現が正しいのかわかりませんが)というのはけっこうキツいものです。

 それと、ふっと目につくものをスルーせず、一旦意識するのってとても大事な訓練だと思っていて…イメージとしては「フックする」感じでしょうかね。「ん?なんで自分はあれに目がいったんだろう?」と、まず考える。結論は、その場では出さなくともよいです。「フック」さえしておけば。

 ある日突然、フックしていたモノたちがつながってチャンスをするするっと引き寄せたりします。

 ただ、このゴミ拾いのたとえでいえば、目につくものをフックするだけでは足らなくて、

ゴミがふっと目につくどんな状況下でも即対応(反射的に)

 を繰り返すことで、これがビジネスにおける鍛錬にもなります。なかなか地味~にキツい鍛錬ですよこれは(笑)。

 野球選手における「素振り」?違うか、アスリートにおける腹筋みたいなものでしょうか。

 なぜこれがビジネスの役に立つか? は、続けてみればわかります。これがいかに大事かは。

 ゆるーく、やれるときだけやる、ではわからないと思いますけど…

 ビジネスで人の上に立つような方々はみーんな、このような類の鍛錬を続けている人間、ビジネスにおける基礎体力ができている人間、この例でいえば「どんな状況下でも即対応(反射的に)」できる人材がのどから手が出るぐらい欲しいのです。

 なので、引く手あまたになる可能性が非常に高まります。

 ゴミを拾い続けていると(ビジネスの)基礎体力がついて、ゴミを拾うというシチュエーションだけでなく、いろんなところで「即対応(反射的に)」できる人間になっちゃうんです。不思議ですね…

 SEは残念!なことに習性としては真逆なので(時代遅れの職人気質を好む傾向が強く、アタマを下げられてはじめて「しょうがねえなやってやるか」と重い腰を上げる、いうシチュエーションにもっていきたがるため、即対応することができない)、これができる人は良い意味でものすごく目立ちます。

※なので、嫉妬されて足を引っ張られないように注意する必要もありますね

 もちろん、即決断を求められる経営層も(そこを目指す人たちも)、これが必須スキルであることは論を俟ちません。

 前回書いた菊池選手のインタビューのとおり、急いでいたり「そういう気分じゃない」ときに限ってゴミが目に入ってきます。ビジネスでも日常でも「なんでオレが(アタシが)やらなきゃいけないんだ」「この忙しいときに」と感じることがよくありますが、そういう思いが立ちあがってきたときこそが実はチャンス(?)です。

 それががっつり1時間かかるタスクなのであれば回避すべきかもしれません。ケースバイケースなので一旦考える必要があります。が、"a few minutes"なのであれば淡々と時間を差し出すことです。このわずかな時間を差し出すのも小損です。

 そして、「いずれ誰かがやってくれるであろうことをあえて自分がやる」という行為については…正しいとは思いますが注意が必要ですね。なぜなら、そういう自分に酔ってしまって、正常な判断ができなくなる可能性がありますので。

 いずれ誰かがやってくれるであろうこと、は星の数ほどありますが、そもそもいずれ誰かがやるのですから優先順位は最初から高くない。にも拘わらず、myルールとして設定していることについては、きっちりやらなければなりません。

 逆にいえばmyルールとして設定していないことについては、ほぼスルーでよいかもしれませんね。頼まれてしまうと、致し方ないこともあるのですが…

 頼まれて意気に感じるのは、最初はかまいません。ただ、本来自分がやらなくてもよかったタスクにがっつり1日とか半日とか使ってしまうとそれは小損ではなく「大損」(またの名を「犠牲」)になり、かつ周りにナメられる(あ、やってくれるんだとどんどん丸投げされる)ので、あえて自分がやるのは結構なのですがやはり"a few minutes"でやれること限定にしたいところです。

 "a few minutes"で済むことであればどんどん周りのサポートをすべきだと思います。

 ただし"a few minutes"で済むはずだったのにどんどん時間が膨らんでしまって… というケースが多々ありますので、最初の時間の見積もり、精査は大事ですね。

 あるいは別なソリューションとして、時間が経ったら空気読まずにすぱっとやめる、相手に自分の時間をコントロールされない、という手法もあります。

 こういうこと、つまり、自分の生活の局面局面でタスクにかかる時間の見積もりをしてかつタスクも遂行し、予実管理(想定していた時間どおりにできたか否か)を繰り返していると、プロジェクトマネージメントが上手になりますよ。

 他人のタスクであっても工数や納期に思いが至るようになってきます。PM本読んで資格試験の勉強しているだけではダメでしょうね…

 SE含めたサラリーマンの方は"a few minutes"を躊躇なく差し出すのが難しいみたいですね。なんかいつも忙しい忙しい言ってますし(ホントだろうか?)。

 忙しいときこそ何をやるかの精査が必要なのに、「やる」と決めたことですら"a few minutes"を惜しみなく差し出せないという… だから、やると決めたことを続けられない(イコール、"a few minutes"を差し出せない)人は、時間配分の優先順位づけが間違ってるんでしょうね。たぶんスマホとゲームに大量の時間を貢いでいたりするのでしょう(苦笑)。

 さて、ひとつのたとえですが、客先の重要な会議に行くのに小走りで移動していて、これを逃したらアウト!という電車に乗れるかどうかギリギリ!といった瀬戸際のところでバカ正直にmyルールに"a few minutes"を差し出したら遅刻してしまった、と。

 先方にイヤミをいわれ、上司にはオコられ…で後で独り勝手にブチ切れて、もうやめた!となる。

 こういう方、多いんですけど…

 あのー、そもそもビジネスマンの基本スペックとして、常に、10分ぐらい時間に余裕をもっておく、ということなんです。これ、ビジネスマンのもっと基本的な小損("a few minutes")なんですね実は。

 この小損をデフォルトでとっている人(新入社員の頃から)は、成功してるかどうかはわかりませんがつつがなくビジネス・シーンを泳いでいってるはずです(現在進行形で)。

 たったこれだけで!

 時間に余裕を持った行動というのはビジネスマンの基本スキルであって新入社員のとき叩き込まれる、はずなんですがどうも… IT業界はメンターが最初っから時間にルーズなことが多いので、後輩もマネしちゃうんですよねー…

 自分のルールとビジネスとは対立軸にあるわけじゃないのです。自分のルールは、それが善行なのであれば必ずやビジネスで役に立つのです。