元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

土いじりがそんなにエラいか?

stevengerrard.hatenablog.com突然ですが、僕は脱サラして田舎暮らし、とか、農業へ転身、とか、そういう話に対してかなり懐疑的、批判的であります。

僕は地方出身ですし、祖父は農家でした。祖父の「百姓」としての苦労話について、祖父本人からではなく父親から事あるごとに聞かされてきました。

そういうバックグラウンドがあって、それがイヤで東京に出てきたものです。

また、僕は10年20年というスパンで「機械」、そして「コンピュータ」と仕事で向きあってきたわけですが、そういう立場の人間からすると、「やっぱり人間は土に還るべきだ」といったような論調は、なにさま??という気がします。こんだけ高度資本主義社会で、先進化した文明の豊かさをたっぷりとしゃぶっておいて、最後に言い出すのはそれかよ、と。。

それだったら最初から農業高校行けよ、と。あるいは大学で農学部選べよ、といちゃもんつけたくなりますね。

(あくまで「つけたくなる」だけですので。。)

農業従事者よりシステム・エンジニアは下なのか? といったら決してそうじゃないでしょう。我々はもっと、我々が世の中を便利にしてきたのであり、これからも便利にしてゆくのだ、という気概を持つべきだと思うんですよね。

都会を離れて田舎暮らし、とかそういう人たちの発言ってかなり「上から」なんですよね。下々の人間はまだ都会でアリのように働いてやがるのお、みたいな。。

そして「東京なんか卒業だよ」と。。 結局8割ぐらいは、数年で言い訳しながら東京に舞い戻ってくるのでしょうけどね。

「田舎暮らし」というのはただの、ライフ・スタイルの選択肢のひとつにすぎない。そして農業は起業のひとつの選択肢にすぎません。崇高な意識でもって田舎で新たな生活を確立している人たちもいるのかもしれませんが、他の大部分はただ流行りにのってみただけか、弱肉強食の都会の生活から「逃げ」てきただけです。

農業を自分の仕事にすると考えれば確かに、自分たちのおまんまの一部を自ら生産することができる、というリスクヘッジは魅力的です。(家庭菜園でもできるような気がしないでもないですが。。)そして、田舎というのは都会と比べて少ないお金で暮らしていけるのは事実です。

田舎暮らしや農業を選択する人たちは、高度資本主義の範疇の中でひとつの選択をしているにすぎず、そこから逃れることはできていません。にもかかわらず、自分と家族だけは資本主義の論理から抜け出ているに違いない、と、誤った選民意識を持っている人がとても多いのです。

もちろん、自分たちはどんだけ田舎に逃げても資本主義から逃れることができないのだ、という事実に自覚的な人もいますが、そういう人ほど田舎に暮らすということに「誇り」を持ちたがるんですよねえ。

僕は、であれば、都心のマンションに暮らして週末や休暇のときだけ「リゾート」と割り切って田舎の別荘に暮らす人のほうがよっぽど潔いと思うのです。