元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

仕事ではSEはつぶれない

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性格が優しく、ためこんでしまう人の場合、体調不良で休みがちになる時期がしばらく続いた後、なんだかよくわからない病名の診断書をもってきてそのままフェードアウトしてしまいます。ロコツに精神病的な病名を書いてくる人はあまりいませんが。。それはまだ、そういう病気を「恥」と思ってしまうこの国の空気が残っているからでしょうか。



いろんなケースをみてきましたが、(本来の)仕事がキツくてバックれた、という人はひとりもいませんでした。たとえ仕事がキツくて倒れて入院しても、また戻ってきます。その人なりに「使命」を感じているからなのでしょうね。

やはり、人間関係なのですよね、ヤられてしまう原因は。。

技術者気質、といいますか、メンバー間やステイクホルダとの調整ごとは「ホントはオレの仕事じゃないのに。。(面倒くさいから誰かやってくれ!)」と思っている人が多く。。 その、「自分の仕事として引き受けない」という姿勢が、ますます人間関係を悪化させてゆくのですけれども。



この業界の現場というのはいろんな人種の寄せ集めですから、プロジェクト発足ともなるといろんな外注から、3次請け4次請けまでフル活用して、クセのある人間たちがわらわらと集められます。

複数の会社の寄せ集めですから、「派閥」っぽいものもできてきますし、プロパ社員を頂点としたヒエラルキーが形成され、カースト制度の下に位置づけられた(僕のような)人間は、常に本来の仕事以外のストレスに苛まされるようになります。

その底辺層のストレスは、カースト制度の上のほうにいる人には、皆目理解できません。なぜなら、「働かせてやってるだけありがたいと思うべし」という暗黙のスタンスだからです。底辺層の人間は喜んで、しっぽを振りながら仕事にありついてくるのが当然、と思っていますからね。



いろんな人間が集まるわけですから合わないタイプも必ずいます。そして、自分が決定的に合わないタイプの人間が、そのプロジェクトや現場においてヒエラルキーがかなり上の場合、あるいは「多数派」に属する場合。。 これがヤバいわけです。少数派になってしまうと意見を封じられ、沈黙を強いられ、ますます本来の仕事ではないところでストレスが蓄積してしまいます。

おおよそ、フェードアウトしてゆく人たちを分類するともっとも多いパターンがこんな感じではないかと、思います。

僕は、このような、期間限定のプロジェクトのような「にわか組織」の中で意見を封じられている人たちに対しては気持ちが痛いほどわかるので同情的ですが、「甘い!」(自分で打開してゆけ!)という考え方もあろうかと思います。

でも、なんだか父性主義を押しつけられすぎのような気がするのですね。最近の例でいえば、震災で家をなくした人に「これも運命だ 自力ではいあがれ!」といったような論調に似ているような。。(ちょっとたとえが極端かも)

そういう、フェードアウトしていった人たちにも言い分は必ずあったはずなのですが、話を聞く機会がない。沈黙したままフェードアウトしてしまうのでもう話も聞けない。

仮に、話を聞く機会があったとしても、少数派の意見が「にわか組織」で反映されることはないのですが。でも、じっくり話だけでも聞いてあげれば、それだけでもストレス発散になって、「フェードアウト」を防ぐことはできたんじゃないか、というケースは多々ありました。組織において意見を封じられるともう、袋小路になってしまって、自力ではどうしようもない、ということも起こり得るのです。



「自分で打開しろよ!」といってる人たちはただ、面倒なことにクビ突っ込みたくないだけじゃん、と思ったりもします。確かに、「自力で打開しろよ!」といってよいケースは、あるのです。若手を育てるとき等は、そうですよね。でも、暗黙のかつ確固たるヒエラルキーが確立している中でその下層に存する人たちに対して、そのヒエラルキーを打破することから強要するのはおかしいと思うのです。

この業界は未だに、相当なる階層化社会であります。