元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

大きく考えることの魔術

知識は潜在的な力にすぎないのである。知識は、それがもちいられるときにのみ、そしてその利用が建設的な方向になされるときのみ力となるのである。
アインシュタインがあるとき、1マイルは何フィートにあたるかとたずねられて、「そんなことは知らないね。どこにでもある参考書を開けば二分間でわかることに、なんで私が頭を使わねばならないのかね?」と答えたと伝えられている。(略)彼の考え方からすれば、事実の倉庫としてわれわれの精神をもちいるよりも、考えるためにその精神をもちいることがずっとたいせつだったのである。
ヘンリー・フォードがあるとき、シカゴ・トリビューン紙からからかわれたことがあった。トリビューン紙は、彼を無学な人と呼んだのだった。フォードは「ではその証拠を出してもらおう」と開き直った。そこでトリビューン紙は(略)正規の学校教育をほとんど受けていないフォードには答えかねるような簡単な質問の雨を彼に浴びせかけた。すっかり頭にきたフォードは、とうとうこう言ったそうである。「私はこのような質問に対する答は知っていませんが、そのようなことのできる人なら五分以内に見つけることができますよ」
ヘンリー・フォードは、雑学にはなんの興味もなかった。彼は、ほかの一流実業家と同じように、情報を手に入れる方法を知る能力は、心を事実の倉庫として使うことよりもはるかに重要である、ということを知っていたのである。
たいせつなのは、問題を解決することのできる人びとであり、アイデアを考え出すことのできる人びとである。夢見ることのできる人は、その夢を実際の場に適用して成功することもできるが、たんに事実を知っているだけの人は、つまらぬもの知りで終わってしまうだけである。

大きく考えることの魔術―自己を生かす心理学

大きく考えることの魔術―自己を生かす心理学

  • 作者: ダビッド・J.シュワルツ,David J. Schwartz,桑名一央
  • 出版社/メーカー: 実務教育出版
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 単行本
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私たちはインターネットという無限の「参考書」を手に入れた世代です。さてどうするか? といったところです。