「不安を押し売りされたような感じ」
- 作者: 河合隼雄,谷川俊太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/09/07
- メディア: 文庫
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ユングも影について、「自分の生きなかった反面」という言い方をしています。つまり、自分の人生で、ある面を生きていくということ は誰でも別の ある面は生きてないわけでしょう。その生きていない半面が、同性の姿をとって夢にあらわれるわけです。たとえば、よくこんな夢を見るで しょう。自転車に 乗っていて、ハッと運転席を見ると、自分のきらっているやつが運転していた。それが影の典型です。
谷川 影というのは必ず自分以外の人間となってあらわれるんですか。それとも、夢の中で自分が思いがけない行動をしたとかいうふうに出る こともあるんですか。
自分が思いがけない行動をしたような場合、たとえば普段おとなしい人がおやじを殴った夢を見たとすると、それは影的なものが自分に 非常に近く なっていることを示しています。逆に「誰か知らんけど出てきて、何かくれたようです」というようなわからないだらけの夢があるんですが、 それは自分の影に 対する自覚が非常に薄いわけです。そういうときは、こっちも「何でしょうねえ。今度はよく見ていてくださいよ」としか言いようがない。