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抜粋・紹介
- 作者: 鈴木大拙,上田閑照
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/04/16
- メディア: 文庫
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西洋のリバティやフリーダムには、自由の義はなくて、消極性をもった 束縛また は牽制から解放させるの義だけである。それは否定性をもっていて、東洋的の自由の義と大いに相違する。(略)自由には元来政治的意義は少 しもない。天地自 然の原理そのものが、他から何らの指図もなく、制裁もなく、自ら出るままの働き、これを自由といいうのである。」
「自由の本質とは何か。これをきわめて卑近な例でいえば、松は竹にな らず、竹 は松にならずに、各自にその位に住すること、これを松や竹の自由というのである。これを必然性だといい、そうならなくてはならぬのだとい うのが、普通の 人々および科学者などの考え方だろうが、これは、物の有限性、あるいはこれをいわゆる客観的などという観点から見て、そういうので、その 物自体、すなわち その本性なるものから観ると、その自由性で自主的にそうなるので、何も他から牽制を受けることはないのである。これを天上天下唯我独尊と もいうが、松は松 として、竹は竹として、山は山として、河は河として、その拘束のなきところを、自分が主人となって、働くのであるから、これが自由であ る。
よく自由と放逸とを混同する。放逸とは自制ができぬので、自由自主と はその正反対になる。全くの奴隷性である。(略)」