元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

柳田国男

いくら英邁な人が出てきても、古人の書いたものを理解するだけで一生を老いこみ、またはそれだけで学者の職業が成り立つようでは、国としては実は何もできない。
怠け者の口実には十分かもしれないが、読んでも読んでも後から本が出てきて、一生本を読んで暮らしてしまったという人が多くては、ただの消費文化である。
そうでなければ勉強をいい加減なところでやめて、やや当てずっぽうなことを、成るべく素人の方に説くようになる。それをしなければならないあいだは民俗学が進むことがない。
(略)