プロレス、ジャイアンツ
イトイさんが以前言ってたのかなあ? ジャイアンツがね、ボロ負けしてもその夜、球場のあたりの寿司屋でへーきな顔して鮨食ってるって。
一ファンとしてはもう怒髪天を突くような勢いなんだって。だってさ、何年に一回しかこれないジャイアンツ戦でしょ?しかも高いチケット勝って、応援してるチームがボロ負けして、でむしゃくしゃして寿司屋に入ったら憧れの選手たちがいるはいいが特に悔しがることもなくへーきで鮨食ってるっていうのは、ねえ。
でもイトイさんは考え方変えたらしいのね、早めに。だって選手からしたらペナントレースって延々と続くわけじゃない。だから一回ボロ負けしたぐらいで一喜一憂してらんない。それどころか負けたなら鮨でも食ってうさばらししたいだろう、ってね。
でオレはその話を読んだときにプロレスの地方巡業を思い出したのさ。プロレスって地方巡業の夜ってさ、ヒールとベビーフェイスがふつーに飲み屋で酒飲んでたりするんだよね。
そういうのを見て、若葉マークのプロレスファンは幻滅するわけ。で八百長だのなんだの騒いで、一部はファンから離れていく。
でもさ、今は違うけど当時ってプロレスって年に200試合ぐらい興行してたわけさ。でどこでもかしこでもヒールとベビーフェイスを別な卓で飯食わせるわけにもいかんだろって。卓を同じくするときだってあるさそりゃ。
プロレスって「職業」だからさ。リング降りてから居酒屋で場外乱闘なんてしてらんねえんだよ。客を呼ぶために「場外」ではヒールもジェントルでいなきゃいけないんだよ。
とかそういうのがわかると、プロレスファンとして一皮むけた状態になり、そういうヒトはだいたい一生コアではないがうっすらプロレスファンのままなんだよ。