元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

プロとは。

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篠田桃紅
素人なら今日は気分が向かないからとか言うこともあるでしょう。玄人はそんなことを言ってたら始まりません。それを表現したものをつくるということが、生きているということなんだから。きょうはなんだか寂しい、苦しいような心地がして、気分があまりウキウキしない。そういう時は、その時の思いを描かなくちゃ。我が身が情けなく思われて自己嫌悪に陥ってしまった時、そういうのもまた自分なのだから、それを表現しなくちゃ。仕事なんだから。歯が痛けりゃ、歯が痛い時の作品を描くべきでしょう。それをもって世に生きてきた以上はね。
プロとはそういうもの。それだからプロって言えると思う。

簡単なのよ、新しいものをつくるというのは。いままでにないものをやればいい。また、古いものを真似してりゃ安心ですよ。いかにも伝統的だと褒めてくれる人もあるかもしれない。強いものだって力いっぱい表せばある程度できるし、力まずふわんふわんやっていれば弱いものもできる。でもそういうものは皆ダメなの。弱くもなく、強くもない、古くもなく、新しくもない、そしてどこの何様式にもはまっていない、そういうものをつくり得れば素晴らしいと思う。それに近くなっていきたいと思います。
結局、世の中にある常識というものの強さには、誰も勝てっこないですよ。そこにはあまりにも長い歴史がありますから。少しでも外れれば、非常識なんて悪く言われてしまう。だけどその常識を超えなきゃ、なんにもならないんですよ。常識を超えなきゃ、褒めてくれる人はいないんですよ。だから難しいんです。