元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

ハッスルする人は、出世できないのか

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ワタミ会長
厳しい。でもそのとおりなんだよ。刮目してみよ!って感じ

(引用)
毎年春の入社式。私が短い講話をしたあと、質問コーナーを設けます。そのとき、真っ先に「はいっ!」と手を挙げて質問をぶつけてくる新入社員がいます。
「会長、これについてはどうお考えでしょうか?」
若者らしく元気いっぱい。ハッスルしている様子がありありと見てとれます。ところが、経験からいうと、そういうタイプの社員はまず伸びません。いまも何人かの顔が浮かんできますが、残念ながら、そのうちかなりの者がワタミを去っています。結局、彼らがひけらかす「元気」は、内実をともなわない虚勢なのです。
心の底から「ぜひ聞いておきたい」ということがあるならいいのですが、たいていの場合はそうではなく、元気よく質問している自分を周囲に見せたいだけなのです。それは質問の中身を聞いていればわかります。
そういう人はプライドが高く、自分を実際以上に評価しがちです。しかし、現実の仕事は地道な努力の積み重ねですから、どうしても自己評価とのずれが生じます。
すると「この会社は自分をちゃんと評価していない」と決めつけ、簡単に辞表を出してしまいます。このように、頭の回転が速く敏感に行動する人は、目先の損得に左右され、せっかくの成長の機会から降りてしまうことがあるのです。
逆に、長い目で見たら伸びるのが「鈍くさい」人です。
「鈍」といっても、決して賢くないわけではありません。あざとい動きをせず、最初は損に見えることでも「とりあえず全力で取り組んでみよう」と思うことのできる健やかさを持っているのです。
「静かに、健やかに、遠くまで行く奴が勝つ」
こう僕は信じています。
なぜなら農業や介護、外食といった我々のビジネスは、長距離レースだと思うからです。短い区間だけで目立つのではなく、毎日毎日の積み重ねを、しっかりとやり続けられる人が成長します。いつも変わらない笑顔で、変わらない態度で、歩き続けられる人が勝つのです。
「学んでそれを行動に移さなければ、学んだことにはならない」
僕の好きな『論語』には、このような意味の教えが繰り返し出てきます。他人の知識を自分の知識のように口にする人は、「実」がない人だといわれます。下手に口が達者な者は信用されません。
■短距離ランナーよりも長距離ランナーの人材
もちろん、口先だけで評価される世界であれば別でしょう。しかし、ワタミグループは「額に汗しないで稼ぐお金はお金ではない」と定めています。コツコツと地味な仕事を続けている会社です。
ですから、知識や理論に行動がついてこなければ、どんなに美辞麗句を述べても評価はされません。行動すること、そして同じペースで継続することが何よりも大事なのです。たとえていえば、短距離ランナーよりも長距離ランナーの人材です。
「人間が働くのは、お金を儲けるためではなく人間性を高めるためである」
これが僕の信念です。コツコツ仕事を続けていると、必ず人間性は高まります。だからワタミグループは、よけいな分野への投資をせず、コツコツ型の事業しか手掛けていないのです。
これからの日本は人口減少社会に入り、国内市場の大きな伸びは期待できません。新規の顧客を追いかけるよりも、既存顧客を深掘りすることが求められるということです。そういうなかでは、コツコツと努力を積み重ねる生きかたが見直されてくると思います。
一方、コツコツ型の人と対極にあるのが、ハッスルしすぎたり、飲みすぎたり、食べすぎたりする人です。そういう何ごとにも「すぎる」人は、うわついている感じがしてよくありません。
そういう人は、自分を常に客観視することで、考え方の基本を矯正していくといいでしょう。お勧めしたいのは、日記を書くことです。それによって、うわついている自分を意識し反省するのです。
僕自身も実践していることですが、日記を書き、自分を日々リセットすることを繰り返していると、しだいに平常とのブレ幅が小さくなってきます。そうなってこそ、はじめて人生で勝つことができると思うのです。