元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

山田博士さん


龍澤ヒデアキのバックドア [引用]山田博士さん

ぼくたちは、米をご飯に変えるために、どうしています?

そう、炊くわけですね。

焼くわけでも、煮るわけでもありません。

つまり、これは「水を米の内部に抱き込ませている」わけです。違いますか。

それに対して欧米などでは、小麦を焼いてパンを作ります。つまり、焼くわけですから、水分を弾(はじ)き飛ばしているわけ。お分かりですよね。

日本人は、主食の米を、水といっしょにいただいているのですが、欧米ではこの場合、水は邪魔ものなんです。

これほども美味しい水、素敵な水、安全な水……が日本にはあったのですが、どうかこれらの事実を、食事をするときにいつも心に留めておいて下さい。

だからこそ、水を、けっして汚してはいけないんです。

それは、日本を、そして日本人を否定することにもつながるわけですね。

日本の水が存在するから、味噌汁も煮ものもお酒も、すべて美味しくできるわけです。

そうそう、いま、お酒と言いましたが、じつは「日本酒」は、日本でしか造ることができないこと、ご存じでしたか。外国では日本酒を造れないんです。

日本酒なんだから、当然だろう、なんて言わないで下さい(笑)。

というのは、日本酒の場合、水の質が一番大切なんですが、仕込み水に、たった0.02ppm以上の鉄が含まれていれば、もう造ることができません。

こんな微量の物質が含まれているかどうかで、決まるわけなんですね。ちなみに、ppmというのは100万分の1の割合のことですから、この「0.02ppm」というのは、1億分の2のこと。もうめまいがするような微量です(笑)。

もし、こんな微量の鉄が水に含まれていれば、麹菌(こうじきん)が作ったある物質と鉄が反応してしまい、お酒が錆(さ)びたような色に染まってしまいます。

そんな赤褐色のお酒など、誰も飲みたくはないでしょうから、もう売ることもできません。

このような極めて純水に近い水は、世界のどこにあるかと言えば、それは……日本だけなんです。不思議ですよね。

宇宙の中で、地球は「水の惑星」ともしばしば言われますが、それに倣(なら)えば、日本は「水の国」とも言えます。

茶道(さどう)だってそうでしょう。日本の水だから発達したものなんですね。だって、水に多くの鉄が入っていたら、お茶のタンニンと反応してタンニン鉄となり、あれだけ素晴らしい色が出ませんから。真っ黒なお茶なんて、いかに食いしん坊のぼくだって、飲むのはちょっと……(笑)。