元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

『放射能がふってきたら自社の基幹システムどうしますか?』


放射能がふってきたら自社の基幹システムどうしますか?|(改題)ひとり公論

放射能がふってきたら自社の基幹システムどうしますか?
今回の大震災で、企業はBCP(BusinessContinuityPlan)についてまた真面目に考えざるを得なくなってきましたね。我々システム屋としては、これはひとつのビジネスチャンスとしてとらえるべきかと思います。

でも、放射能がふってきたらどうするか? なんてこれまで誰も考えてきませんでした。(当たり前ですが)
全国に支社があるような大きな会社を想定して考えると。。
基幹システムと情報系(メールサーバ、Webサーバ等)は、おおよそアウトソーシングして、堅牢なデータセンターで動いていることが多いと思います。でも結局、ほとんど首都圏じゃないですかね? おいてあるのは。保守のサービスレベルの問題とかあるので。
センターが田舎にあったとしても、センターの警備要員は少人数いるにせよ、運用管理は東京周辺からリモートでやってることがほとんどです。
その、アウトソースしているベンダが、「東京の放射能がなんとかシーベルトまで上がってきたので、弊社の規定にもとづき運用要員を引き上げさせていただきます。 以上!」なんて通達してきたら、どうしましょう。
その通達を受けた会社もパニックになってゆくでしょうが。。 アウトソースしてる会社が逃げようとしてるときに「オマエら逃げんのか! 契約どうすんだ! 損害賠償だぞ!」なんて脅したってムダですよね。命かかってるんですから、たかがお客のシステムのために命を投げ出すような大馬鹿なシステム屋はゼッタイにいません。
じゃあ、自前の社員(情シス部門)で運用できるかっていうと、スキルはないのはもちろん、放射能がふってくるかもしれないというときにやらないでしょう。おおよそ、東京にいる社員というのは本社機能なので、その会社の中でもちょっと優秀な人が集まってたりします。まず、逃げ出すと思います。(逃げ出すことを責めることはできません)
東京が逃げ出して無人になるのは勝手ですが、全国に支社がある会社では、東海、関西、九州等でシステムを使っているユーザがいるので、放置するわけにはいかない。本社機能の移転も考えなければならないですしね。

と、いうことで、アウトソースしているベンダーには、関西以西からリモート保守できるような体制を構築してもらう必要がありますね。
会社の情報システム部門は、有事の際には本社機能とともにすみやかに関西以西の支社に移動し、ベンダーと連携をとって対応できるような準備をしておく。
という意味では必要なのばバックアップシステム(コールドスタンバイ)ではなくバックアップセンターですね。「センター」といってもそんな大げさなモノは必要ありません。大きめの会議室とかを関西以西の支社でいつでも空けられるようにしておけばいいと思います。ただし、あらかじめシステムインフラを整備して、それなりの太さの回線を引き込んでおく必要はあります。インターネット経由でVPNで監視する経路を確保しておくのは当然。有事の際はセキュリティもへったくれもないでしょう。
ベンダーに保守体制を構築してもらうのが難しいのであれば、支社のバックアップセンターにいっしょに常駐してもらうかたちで調整しておく。監視の機器とかは持ち込んでもらう。マンスリーマンションの一定数の確保とか、地味ですが大事な仕事です。
それが、今の日本におけるリアルBCPかな、と。バックアップセンターへの移動、運用開始まで一回リハーサルをやっておく必要は、ありますね。物理層の問題はたくさん出てきそうなので。(そもそも、「つながんねー」とか。。)
それと、要員確保についてはきっちり詰めておいたほうがいいですね。たとえば有事の際に大阪に本社(および情報システム部門)を移転するといっても、ベンダーはついてきてくれるのか? 運用要員は誰をアサインするのか? それぞれの家庭の事情とかもあるでしょうし、断られても文句いえないでしょう。
それと、情報システム部門の常駐パートナーSE、派遣SEも有事の際に関西に連れていけるのか? といったら、全員はムリでしょう。いや、ほとんどいかないと思っておいたほうがよいですね。頼りになる(コキ使える)のは自分の会社の社員だけでしょう。

まだまだ、余震の震源地が不気味に動いている状況ですから、東京湾震源マグニチュード7以上の直下型がくる可能性はかなり高いですし、原発もどうなるかわかりません。私のまわりではもう終わったような空気が流れていて、まぁそれでもいいですが、情シス部門移転計画と準備、調整はきっちりと、机上の空論に終わらせずに考えておくべきかと思います。