「回転木馬のデッド・ヒート」
抜粋・紹介
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/15
- メディア: 文庫
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(引用おわり)
とにかく「回転木馬のデッド・ヒート」というフレーズは、僭越ながらとても素晴らしいです。よくこんなコトバ思いつくな、といったような。プロな のだから当然なのかもしれませんが。
この村上春樹さんの文章に対して僕は愛憎反する感想を持ちます。
まず、「文章以外の」「自己表現が精神の解放に寄与するという考え方は迷信であり、好意的に言うとしても神話である。」ということ。僕がキラい な、非日常への憧れを「いいオトナが」捨てきれないアート系のヒトたちがすぐ思い浮かびます。
ですが「書くこと自体には効用もない」というのは、実際僕は書くことにより「精神安定」という効用を実感しているわけですから、(今の自分にとっ ては)違うと断定できます。
ただしその「効用」とやらはマスターベーションにすぎないわけでして、そういう自覚はありますし、村上さんが指摘したいのはそこなのかもしれませ ん。「社会的」効用はない、ということでしょうか。
「自己表現は精神を細分化するだけ」も納得がゆくのです。でもそれは「どこにも到達しない」わけではない。それは、微分に微分に重ねた結果とし て、「根源的な闇」(byこれも村上春樹さん)に到達します。そう信じています。
まあ、このフレーズ自体も短編小説の一要素ですから、このフレーズに目くじらをたてる必要もないのかもしれない。
(抜粋・紹介おわり)