元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

綱島梁川

衣なき者を慰藉せんとして衣を粗にするの止むを得ざるに至り、金銭なき者のために自らも貧におり、魚鳥獣の生命に同情を寄せて口に魚鳥獣の肉を入れず、失恋の人のために甘き過程を遠離せんとす、吾れ斯くの如くして、遂に三衣一鉢の人となる。三衣一鉢の人在家の姿となり、在家俗塵の吾れ僧侶の生涯となる。これ必ずしも信仰の態度なりというにあらず、唯だ已むなきによりて然るなり。