元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

「江戸学」のすすめ(4)

「江戸学」のすすめ―貝原益軒の『慎思録』を読む

「江戸学」のすすめ―貝原益軒の『慎思録』を読む

博学に非ざれば、則ち審問・慎思・明弁を欲すといえども、然も固陋偏狭にして、功を施す所無し。


(慎思録の意訳のほうです)
「徳のある立派な人は、人を養うべきもので、かえって人を害するような間違ったことはしない」と古人が教えたが、これは国家に喩えていったものである。身を養う飲食でも不摂生であれば、かえって身を害うから、これを例にとっても同様である。思うに、飲食物は元来人間の体を養うもので、もしこれを欲望にまかせて不摂生すれば、体を損なうことにもなる。体を養生するはずの飲食物によってかえって体を損なう結果を招くことになる。(略)
君主が人民に対する関係は、飲食物が人体に対する関係と同じである。国家に君主を立てるのは、天が元来人民を養って安住させようとするものである。もしも、人民を殺し人命を損なうようなことをすれば、民を養って安らかにさせるはずのものが、かえって人民を害することになるわけである。