元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

イトイ新聞(2)

葉っぱをお金に変えた人。

(略)ちょっと慎重すぎるくらいの付き合い方をしちゃうんですよ。なんていうんだろう‥‥「人間って意外に怖いもんだ」っていうことをぼくは知ってるつもりなんです。で、その人間の中には、自分も入っている。根本的にぼくは、自分を信用しきってないですから。「欲」については、自分だって危なっかしい。
(略)
だから、自分を危なっかしく思う分量くらいは、他人にも疑いの目を向けさせていただこうと(笑)。「信じることができないあなたは悲しい人だ」と言われるかもしれないけれど、信用しきったおかげで両方もろとも死ぬのはいやですから。
(略)
疑いを持たずに愉快な話だけを信用して、「信じたいんです!」なーんて言ってる自分は、もう、隙だらけですよね?
(略)
この前、ちょっと短い文章を書いたんです。「選挙に立候補しないか? と誘われるのは、その人に隙があるからだ」っていう文章を。つまり、横尾忠則さんとか、赤瀬川原平さんだとか、ぼくが付き合ってるおもしろい人は、そういうことに誘われない人ばっかりなんですよ。で、ぼくは一度だけ誘われたんです。そのときは隙があったんでしょうねぇ。
(略)
結局、声をかけてきた人に一度会って、「なんてくだらないやつだ」と思われて、二度と会わないことになったんですけどね。でも声をかけられたときに、悪い気がしてなかったんですよ、おれ(笑)。
(略)
誤解のないように言っておきたいのは、ぼくは政治全体を否定しようっていうんじゃないんです。ただ、自分の身の丈ではないと。身の丈じゃないのに誘われるのは、やっぱり隙があるからなんですよ。