元祖【ひとり公論】

誰かには必ず、ほんの少しだけでも役に立つに違いない、という意味での公論

イトイ新聞

葉っぱをお金に変えた人。

糸井 このところなぜか、山登りについてずっと考えてたんです。で、最近、大発見したことがあるんですよ。
(略)
ぼくは、富士山の火口は、その写真を見ています。もっと言えば、エベレストの山頂から「頂上ですー!」っていうテレビの放送も、見たことがあるんですよね。なんだか、気持ちのどこかで、「おれ、そこに行ったことあるよ」に近い感じになっていたんです、自分で。
(略)
登ったことのある人が、「皆さんに」って言いながら、映像を見せてくれたり、写真を見せてくれたり、苦労話を聞かせてくれたりすると、ぼくらはあたかもエベレストに登った経験があるように思ってしまうんです。
本当に登った人じゃないと、わからないでしょう? ヘリコプターで登った人もそうです。歩いて登った、その途中はわからない。
(略)
ヘリコプターで登っちゃった人は、やっぱり「得てない」んですよ。
(略)
うーん‥‥。1から考えるっていうのは今、人がいちばん苦手なことなのかもしれない。
(略)
「8合目までヘリで行かせてください」って言っちゃうんですよ。正直を言うと、ぼくもそれをやったことがあるんです。
(略)
8合目まで誰かに助けてもらったことは、たいていの場合、うまくいってませんね。で、逆に自分ではっきり1からやったことは、ほとんどうまくいってます。